2006.05.31 Wed
君と僕 一足の靴 互いを横目で見やりながら 追えばあっけなく追い越し 追い越したと思ったらまたすぐに越される 朝から晩まで 数えきれない追いかけっこ ときどき立ち止まり 寄り添うけれど 時には互いに踏まれたり 蹴り返したり でも 進む時はまた追いかけっこ ちょっと寂しいのは 帰宅して脱いだあと 君のそばに揃えておいてもらえなかった夜です あなたと私 一膳の箸 いつも一緒にテーブルの上 ぎゅっと握りしめられて 仕事は結構忙しい 大きな野菜を息を合わせて挟む 固いものをそろって突き通す ドキドキするのは柔らかいものを切る時 ふと軽くなって 再びあなたに会う瞬間 とても寂しいのは この家のお母さんに 平気で違う相手と組まされるお昼ゴハンです |
2006.05.30 Tue
すべりこむもの この隙間にぴったりの言葉 他のものでは当てはまらない 奇跡のパズル |
2006.05.29 Mon
命がひとつしかないことは 幸いなのだと思う どんなに繰り返す日々の営みも すべて最初で最後の一度きり だということを忘れるくらい 平凡な毎日に倦んでいればこそ 命がひとつしかないことは やはり 幸いなのだと思う |
2006.05.28 Sun
君と話したあとはいつも さっきより少し 前向きになっている私です。 |
2006.05.28 Sun
一歩踏み出しただけで突然ひらける視界 一段高みに昇っただけで驚くほど見渡せる彼方 踏み出すまでは 昇るまでは 霧の中 抜け出してその霧が 鎧であり また 枷でもあったと知る 身を守るものの安心と 身動き取れぬ歯痒さと どちらも手放せぬ私を読んで また霧が 静かに 足元に触れる |
2006.05.27 Sat
くるり回して振りかざす手 伸ばした指が触れているところ そこは紛れもなく宇宙だ 確かめるように踏みしめる足 これは地球だ 間違いなくそうだ 君が生まれるよりずっと前から いつか君が消えたあともずっとずっと ここは地球で ここは宇宙 手をつなぎ どこまでも行こう 歩いて 歩いて 歩いて 歩いて 僕らはいつも 宇宙にぽっかり浮いて 大きな玉乗りをしているんだ ナイショだよ 「人生はサーカス」って ホントはこういう意味なのさ……! |
2006.05.26 Fri
何を待っているのだろう 同じ日に水に浸した 小皿の中のアサガオの種 三日ほどで膨れて白い根をのぞかせるものと 何日経っても頑に縮まったままのものと 早く目を覚ました子は もう柔かな土に引っ越したよ おまえはどうして まだ眠ったままなの ふと こどもは自分の生まれる時を自分で決める という話を思い出す 予定日をあまりに過ぎて 促進剤で出産した友人は 「この子が話せるようになったら、一体何を待っていたのか聞きたい」 と 悔やむように語った まだ 時ではない と 沈黙する 生まれ出る以前の生命にも これほどの判断力が備わっている |
2006.05.25 Thu
身近な人の心を ふと 見失うとき 遠くにいる 君の言葉が 私を包む 大切な人を 不覚にも傷つけたとき 遠くにいる 君の言葉が 私を赦す どこを探しても手に入らなかった自由や 何度つなぎ止めてもかなわなかった愛や 繰り返し繰り返し夢に見た小さな願いを 遠くにいる君が容易く私に叶えてくれる 近くなくてはできないことは あまりに多いが 遠くなくてはできないことも 思いがけず多い 君が遠くにいることで 私は今日と向き合える 君が遠くにいることが 私を明日に向かわせる |
2006.05.24 Wed
そばを通るだけで気になる 気になると吸い寄せられる 始めてしまうとやめられない あと少しだけ もう少しだけ 足も腰も指先も あちこち痛い 髪も顔も衣服も あちこち汚し それでもひたすらに ただ次を追い続けて 時を忘れ 我を忘れ 草抜きの誘惑! |
2006.05.24 Wed
近いからわかること 近すぎてわからないこと 遠すぎてわからないこと 遠いからわかること |
2006.05.23 Tue
コドモからもらった風邪 渇いた咳がときどき止まらず 目覚める頃ひとしきり苦しい 昨夜 コッブに半分ほどの水で たやすく飲み干した白い粉薬 のせいで今朝から意識朦朧 きちんと処方してもらったのでも こんなにあからさまに効くと恐ろしい 誰かと話したり 車を運転したり 食事をとったり するのは平気だが ひとりになると 人肌に温められたゼリーの中を泳ぐ 身動きがもの憂く だるい 少しだけ と横になると そのままゼリーに意識が溶ける 人と会う約束も コドモの迎えも 眠りの外にすっぽかし こんな時間になって ようやくゼリーから半身上がる 夜までに腰も脚も引き抜かなくては 明日また新しいゼリーに入れやしない |
2006.05.22 Mon
死ぬまで、そばにいるからね。 双葉を開いたアサガオに、生涯を誓う。 |
2006.05.20 Sat
ああそうだ たいせつなときには かならずきみがそばにいたのだと きづくのがおそすぎなくてよかったとおもう わたしたちはきっとこんなふうに これからもいつまでも どこまでも |
2006.05.19 Fri
踏みしめる 君の足 自分がどこへ行くのか聞く必要などない すべてを知っている者のように ここに立つ 打ち鳴らす 君の手 自分が誰であるか疑うことなどしない 弾けるような手応えと音の躍動を ここに響かせる 呼びかける 君の声 応える声にまた呼びかけていつ終わるともない 驚くほどの力強さを繰り返し ここに刻み付ける |
2006.05.17 Wed
I can stand I can walk I can hop, step and jump up I can eat I can drink I can sleep, dream and wake up I can feel I can think I can weep, smile and get up …… without you. |
2006.05.16 Tue
あるがままを肯定された身体と あらかじめ否定された身体では 機能も 動きも 柔軟さも違う 意のままに動く身体に言うことをきかせるのではなく 不随意な身体をそのまま認め、言うことをきいてやる 身体は饒舌だ 聞く耳を持てば語り始める それは自らの物語でありながら 君の知らないストーリーかもしれない |
2006.05.15 Mon
家の側にある大きな楡の老木 どのように根が張って体を支えているのか 不安定に傾いだまま この時季 新緑を身にまとう 老いた木でも若葉は初々しい 秋には枯れ葉がしこたま降って 周辺の住人の落ち葉かきは悩みの種だが 台風など来る度に いっそ折れたらすっきりすると囁き合い 嵐が去って無事な姿を見ては 皆で胸を撫で下ろす 夏の盛りにはこの木の下で 汗が引くまで立ち話をする人も多く そのせいか 根元に忘れ物が落ちていることがある 愛され 疎まれ 利用され もの言わず どこへも行かず ただ生きることの営みを繰り返す木 私の命があるうちに その生を終えることがあるのだろうか ここを終の住処と決めた私は この木と同じ 見届けたい 見届けられたい 命あるがままに生きるということを 静かに認め合えると思う |
2006.05.15 Mon
幼い頃、私はあることで一人の友人をひどく傷つけた。 友人は目を伏せただけだったが その胸の痛みを私は瞬時に理解した。 何があってもしてはならないことだった。 何があっても言ってはならない言葉だった。 それまで良好だった友との関係が 今後表面をどれだけ繕っても 根底で崩れたまま二度と修復できない。 友人は善い人で それからも私と時間をともに過ごしてくれたが それがなおのこと私を責めた。 あのとき、ただ目を伏せるだけで すべてを押し殺した彼女の胸の内を思うと その後私が他人から受けたいくつかの悲しみなど 取るに足りないことだと、今でも思う。 すぐに傷つく人も なかなか傷つかない人も 共に周囲を傷つけやすい。 ただ、立ち止まりたくない一心で 私は後者を選び取った。 それから私は 何本ものアンテナを折り畳み 今日に至る。 もう一度広げられそうな場所を どこかに探したい気もするが そんな幸いも手に入れるべきではないと 幼い私が叱咤する。 彼女はもう忘れているだろうか。 許されたいからではなく、 思い出させることで再び傷つけたくないから 二度と蘇らない彼方へ 私という存在ごと葬り去っていてくれればと思う。 忘れられても 大丈夫。 代わりに 私がずっと 覚えている。 |
2006.05.14 Sun
君の悩みはいつも どれほど傷ついたかということ。 私の悩みはいつも どれほど傷つけたかということ。 |
2006.05.14 Sun
母の日 どうしても今日 伝えねばならないことがあって そのために 母を傷つける。 |
2006.05.13 Sat
空を飛ぶ夢を見たことがない。 幼い思い出を遡っても、たぶん一度もない。 忘れたような気がしない。 見たいと思っている夢だから、 見たら忘れるはずがない。 海の夢は何度も見た。 目が醒めて、からだが冷えきっている時は たいてい海の夢を見ている。 波をかぶり全身濡れて、ただ凍えている。 泳ぎもせず、助けを呼ぶでもなく、 頼りない何かにつかまって、途方に暮れている。 どこかへ行く夢を、あまり見ないのだと思う。 状況はいつも立ちすくむ私に訪れ、 何かする前に忽然と消える。 夢の中で、 何かができたということ自体、 あまりない。 |
2006.05.13 Sat
Happy Universe-day to Me ! |
2006.05.12 Fri
私たちは忙しい 区別したり 分類したり 比較したり 順位を付けたり 同じ色で流れる血を アルファベットで識別する どちらが数分先に生まれたかで 第一子と第二子を登録する 神話を投影した星の配置に生まれた日を重ね 性格を診断する 最終学歴がどこまでかによって 労働報酬を査定する 性別が 年齢が 出自が 資格が 容姿が 成果が 賞罰が 履歴が 言語化し得るすべての条件が 差し迫る日々の生活に標を付ける 区別され 分類され 比較され 順位づけられた私たちは 標に従い整然と泳ぐことに忙しくて わずかな手間や ささやかな努力や かすかな手応えや ひそかな願いを 後回しにしたり 一緒くたにしたり ごまかしたり 放り出したり 取りこぼした何かを拾うために身を屈めた瞬間 流れに呑まれて それが何であったか忘れてしまう 水底に 沈む覚悟はあるか 水面を蹴って 飛翔する用意はあるか 勇気でも希望でもなく 泳ぎきることと変わらぬ力で ただ自在であるために |
2006.05.11 Thu
「ぜったい、だいじょうぶ」 この世で一番恐ろしい言葉。 |
2006.05.10 Wed
月の引力にひかれて湧き立つ血液が 満月の夜 首筋からほとばしる 左顎の下 動脈の触れるところ この微かなリズムが狂い始める 私の鼓動に もうひとつ別の鼓動が混じる みぞおちの奥に息を潜めた生き物がゆらりと首をもたげ 出口を求めて心臓の裏をゆっくり進む 肩甲骨のあたりで向きを変え 鎖骨の上に回り込み 首筋を昇って顎の下へ 動脈瘤はこぶし大となり 両手で押さえてもまだ肥大する 激しい痛みが 満ちて 引いて 繰り返す波が周期を縮め 気が遠くなる最後の瞬間 水疱のはじける音がして 血しぶきとともに生き物の形をした血液がつるりと生まれ そのまま月を目指す ぐっしょりと血に染まり その影を見送れば ごらん 空いっぱいに 同じく月を目指すものたち あの家にも その家にも 身の内に生き物を飼う女がいるのだ 女たちは深夜ひっそりと 浴びた血を洗い流すために湯を使う 痛みの取れた首筋に そっと触れてみる 腫れもなく 傷跡もない 目を閉じて 脈をさぐる 間違いなく 私だけの鼓動 月ごとに繰り返す儀式 間もなく 満月。 |
2006.05.09 Tue
私の知っている大きさの私が私のすべてだと思っていた頃 私はとても小さかった 私の知らない私がいる 私の知らない大きさがある 私の知らないところがあって 私の思い通りにならない私がいる 私は私を知らなくて だから私は迷ってばかり 私は私が分からなくて だから私は間違えてばかり 私は私をつかめないのだと分かった時 私は前より自由になった 私は私が見えないのだと分かった時 私は前よりちっぽけになった |
2006.05.08 Mon
眠る前に 昨夜の雨が私を満たし 今日はひっそり過ごす 表面張力ギリギリまで注ぎ込まれた水 揺らさぬように 波立てぬように その恵みを頂く 水に気を取られ 一瞬 見失う足元 支えた手の甲にしたたる一滴を 思わず口に運んだ 極上の水は 甘い |
2006.05.07 Sun
浴室の窓を開け放ち 雨の匂いを迎え入れる むせ返る湯気と入れ替わりに 眠りについたものたちの密やかな息づかいを抱いて 夜の色をした風がひんやりと忍び込む 明かりを消した浴室の中は 雨と夜で満たされ 私は 湯船から出て 柔らかな命の気配を素肌にまとう |
2006.05.06 Sat
亡くなった父を病院の裏口から連れて帰るタクシーの中で、 叔父と、母と、私は、毛布にくるまれた父の亡がらを抱きしめていた。 まだかすかに温かさすら残る重い肉塊の中に、 父の思念はすべて残っているように思われた。 けれど、もう二度と口を開くことはない。 父の中に取り残されたデータを引き出す術はない。 死の直前まで意識がはっきりしていた父は、 いまわの際まで何事かを思い続けていたに違いない。 彼の中のブログの最後の記事は何だったのか。 5年を隔てた今、その最期のページに付けたいコメントがある。 愚かな娘を叱ってください。 けれど、あと少しだけ、迷うことを許してください。 大切なものを、見失ったわけではない。 いろいろな距離を、もう一度はかり直しています。 落ち着いたら、あなたとの距離も、もう一度はかりたい。 ずいぶん待たせるかもしれないけれど、必ず訪ねるから。 何度はかっても変わらぬ距離もあるのだと、 どうか私を安心させてください。 母には未だに子ども扱いされるたび、 腹を立ててばかりいます。 けれどあなたの前では、 いつまでもただの子どもでいさせてください。 最期の瞬間に間に合わなかったことを、私は未だに悔やんでいる。 間に合ったところで何もできぬことくらい分かっているけれど、 父が死という手段で最愛の家族を振り切る瞬間を見届け、見送りたかった。 私をこよなく愛し、与えうるすべてを与えようとした父はその最期の瞬間も、 死とはこういうことであると、私に示したかったような気がする。 68年の人生の最後に手渡されるはずだったものを、 私は未だに受け取りそびれたままだ。 鯉のぼりに飾られて、毎年、父の命日は逝く。 あの夜、高速道路を飛ばす車の窓から、 ヘッドライトに照らされた鯉のぼりをいくつもやり過ごした。 こんなものが、その後私に特別な意味を持って映るとは、思いもしなかった。 |
2006.05.06 Sat
朝 起きたら 目が腫れていた。 泣いたのは 夢の中だけだと 思っていた。 |
2006.05.06 Sat
日差しの季節を迎える準備。 衣服に 寝具に カーテンに グラスに 窓辺に 玄関に 文字に 会話に 振る舞いに 去年の記憶に 今日の予定に 体に 呼吸に 胸の内に。 しばらく使わないものは 一番下の引き出しに。 これから使うものは その上の引き出しに。 一番上の小引き出しには 出会いをたくさんと サヨナラをひとつ いつでも出せるようにきちんと整理して これでよし。 日差しの季節を迎える準備。 |
2006.05.05 Fri
すかべっきー すかげっぴー すぱべっきー すぱげっぴー…… 3歳児の弱点「スパゲティー」。 |
2006.05.04 Thu
がまん、してみる。 心の中がひとつのことでいっぱいになって 気がつけば、 唇を噛んでいる。 でも、もうちょっとだけ、がまんしてみる。 がまんしたままで日常生活。 案外、できることは多い。 |
2006.05.03 Wed
目に見えて薄着になる季節。 愛されている実感が 私を あと一枚ぶん 身軽にする。 |
2006.05.02 Tue
pantalassa は、海の名前です。 遥かな昔、生命の発生よりもっと前のこと。 まだ地球に、未分化の巨大大陸がひとつあっただけの 時代があったのだそうです。 後の人々はその大陸をpangea(パンゲア)と名付け、 残る地球の面積を埋め尽くすたったひとつの広大な海を pantalassa(パンタラッサ)と名付けました。 以前、ブログにも書いたのですが、(2006,3,10/参照) 私は「名付ける」という行為に強い抵抗感を持っています。 その自覚を決定的にしたのは、実はこの名前を知った時でした。 ヒトにつながる遥かな生命の歴史を辿って、 探究心の強い高邁な方々がその研究の成果に 次々と名付けることは必然だと思いました。 けれど、生命の起源以前の事象にまで ヒトが某かの名を与えるというのは、 私には傲慢なことのように思えてなりません。 とはいえ、考えてみれば、 現代の生活の中にも人知の及ぶところではない事象はあふれ、 しかもそのひとつひとつに呆れるほど正確に 「名付ける」行為は及んでいるのですが。 生まれ、冷え固まったばかりの地球に、 ただ互いに向き合っていたひとつの陸とひとつの海は、 後の小賢しい生き物に名付けられる以前に、 互いを呼び合う名を密かに持ってはいなかったのでしょうか。 名付けられてしまった陸と海。 その後、活発に活動し、分裂、移動して行く陸地を 今も黙って受け入れ続ける海に、私は深い敬愛の念を抱いています。 いかように区切られ、名付け直されても、 海が海であり、繋がった、たったひとつの存在であるという事実は、 今も変わりません。 そして、これからも。 名付けてしまった罪を償うために、 せめてその名を大切に呼び続けたいと思いました。 あなたが包み隠さぬ裸感で捉えたことを、 言葉という果実にして、 ここに集う人みんなに切り分ける。 おいしい果実からこぼれた水は、 あの大きな海から生命の歴史をすくいあげた水。 ここに、還してください。 生まれたばかりの生命になって、 ひろい言葉の海を、ともに泳ぎましょう。 secret garden じゃなくて、 secret sea だったかも……! |
2006.05.01 Mon
Welcome , Welcome , Welcome! to THE SECRET GARDEN. |
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