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 2006.08.01 Tue






あなたに
私の知らない顔がいくつもあることを
改めておもう

知らないところで
知らぬ顔をして
見知らぬ人と
私には分からない言葉で笑い合うあなた
の中の希薄な私

あなたが私から離れて行く
その距離を徐々に伸ばしてゆくことが
ドキドキするほどうれしい
少しずつ私を忘れて
心に私が不在の時を増やしてゆくことが
私をこんなに幸福にすると
あなたは気付いてないのだろうけれど

今まで生きてきた中で
忘れられないことはたくさんあるが
忘れてしまったつもりでひょっこり思い出すことも案外多い
けれど今の私を作ったものは
思い出せる事柄ばかりではない
むしろ
忘れてしまったたくさんのことに
私は育てられたと思う

覚えていること と 忘れてしまったこと
どちらが多いかは明白なのだ

あなたの記憶の中に
いつか埋もれてしまいたい
何か思い出しそうになるあなたの指先に
間違っても触れることがないように
息を潜めて眠り続けたい

忘れられるという関係で
あなたと永遠に繋がることができるといい











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00:46:07 | 小さき人たち | コメント(2)

 2006.08.03 Thu






一番下には何が入ってる?
「びにーるしーととちいさいりゅっくとたいそうふくとびーずとかえりのきがえ。」
真ん中のとこは?
「はんかちとてぃっしゅとふでばことのーとときゃんぷてちょうとびにーるとめいしとおさいふ。」
一番上は何だ。
「おふろせっととあしたとあさってのふくとぱんつとしゃつとくつしたとせんたくものを
 いれるびにーるとはんかちとてぃっしゅとむしさされのしーる。」
自分のことは自分でするんだよ。
「はーい。」
でもできないと思ったら、早くお兄さん達に言うんだよ。
「うん。」
みんなきっと助けてくれるからね。ちゃんとありがとう言うんだよ。
「うん、わかった。」
マリンライナーの次はバスに乗ったらしばらくかかるから、なるべくお昼寝するんだよ。
「わかってる。たのしみたのしみ。ふふふ。」
自分の荷物は絶対自分で持ちなさい。
「はいっ。」

引率の先生が気を利かせてくれて
改札の前で写真を一枚
「いってらっしゃい」
「いってきまーす」
手を振ってスイスイとエスカレーターに乗り込む

振り返るかな
そのまま行くかな

昇りきったところで立ち止まり
きょろきょろとこちらを探す
目が合って手を振りかわし
思わず大きな声でもう一度「いってらっしゃい」
いってきます と 答えたはずの声は
聞こえなかったけれど
あなたの笑顔と
大きく振った小さな手を
たのもしく見送る

帰りの車の中はなんだか広くて
あなたのおしゃべりの代わりに
心地よい寂しさをぎゅうぎゅう詰めて帰った











15:58:44 | 小さき人たち | コメント(2)

 2006.08.04 Fri






どうしてるかな
今日は午前中からハイキング
お昼は見晴らしのいいところでお弁当らしい
あなたのことだから
夜はぐっすり眠っただろうけれど
にぎやかな朝を迎え
どんな顔をして出掛けたのだろう

これまでの5年間
あなたの「はじめて」をたくさん一緒に体験してきた
幼稚園に通い始めて ずいぶんチャンスは減ったけれど
あんなことや
こんなことを
拙い言葉を巧みに操って聞かせてくれるのが
私の毎日の楽しみだ
それを三晩も我慢するのは
思ったより骨が折れることだな

いろんなことに すぐ驚くあなたは
きっとたくさんの思いでその胸をいっぱいにして今日を過ごしている
そばでそれを見つめている人たちに
遠くから 嫉妬する

帰ってきたら たくさん聞きたいことがある
けれど
きっとあなたの一番の宝物になるのは
話してくれるたくさんのことよりも
言葉にできない気持ちや出来事が
もっともっと こんなにたくさん
しかも一度に起こることがあるのだと
ここで「はじめて」知ったことだ

掴んだことさえ気付かぬような大きくて小さな真実が
ひそやかに あなたの心に根を下ろす 瞬間











16:29:12 | 小さき人たち | コメント(0)

 2006.08.05 Sat



「マカちゃんもキャンプいきたい
 イセくんみたいにおとまりしたい」

仕方がないからご近所のお友達宅に
下の娘も一泊旅行
もうすぐ6歳になる大好きなお姉ちゃんの家
できもせぬスキップを踏んで浮かれて歩く夏の夕方
その足が ふと 止まる

「セミさんしんでるね
 どうたんかな
 セミのおかあさん えーんえーんて なくかも」

たいていの虫は
生まれたとき既に父も母もいないのだ
卵から孵ってみれば自分一人であったということを
何の不思議もなく受け入れて
誰の世話にもならず成虫になる
ということを
ひらたい言葉で話しているうちにもう到着

誘われるままにひととき一緒に過ごしての帰り際
「じゃあ、明日の朝お迎えにくるからね」
「うん、バイバイ」
玄関までは出てきたものの
遊びの続きに戻りたい視線が
私ではなくお姉ちゃんの姿を追う
「おしっこ上手にするんだよ」
「わかってる。だいじょうぶ」
駆け去る背中を見送りながら
すみません よろしくお願いしますと母上に頭を下げ
エレベータでひとり降りる
来る時より少し明るさを落とした空の下
さっきのセミを踏まないように
足元に目を配りつつ帰った

子どもの気配が消えた家の中
メールの返事で友人に
「新婚時代にもどれるね」とひやかされる

「残念でした
 新婚ではなくて
 イッキに独身時代です」

こんな日に夫の帰りはいっそう遅く
ひとり済ませる張り合いのない献立の食事

深夜
手洗いの鏡に映った自分の顔を見て
妙な既視感におそわれる
その顔は30年後の私の顔
子らが自立し家を出て
夫との会話も尽きた生活にシワを増やし
またひとつ
味のない1日を飲み下した老婆の顔
ある晩私は
こうして鏡の中に今夜の私を思い出すのだ

寝苦しい布団に横たわりつつ
あの説明は逆だったなと思う

たいていの虫は
生きているうちにわが子の姿を見ることはないのだ
無事に生まれるかどうかさえ知る由もないことを
何の不思議もなく受け入れて
その命を終える

うらやましくはないけれど
虫の親であればシワを増やすこともないなどと
明かりを消した天井をしばし見つめた





23:58:22 | 小さき人たち | コメント(0)

 2006.08.06 Sun



踊り場にチラリと緑のキャップが見えた瞬間
「あ、イセくんだ! イセくーん!イセくーん!イセくーん!イセくーん!イセくーん!」
いち早くみつけた妹がけたたましく兄を呼ぶ
いつもなら静かにしなさいとたしなめるところだが
今日は私の代わりに呼びたいだけ呼ばせる

満面の笑みで階段を降りてきた夏の少年
大きなリュックが改札を通る
まとわりつく妹に応えつつ
あなたはゆっくりと近づいてきた
 「ただいま」
 「おかえり」
これっぽっちの言葉を交わす瞬間を
私は72時間待った

少し離れたところにこっそり立っていた父親の姿も
あなたはすぐに見つけ出す
「お父さんにもおみやげ」
持ち寄りバザーで買った折り紙作品がこぼれ出る
どんな子が作ったものか
その子もきっと今頃
家族の出迎えを受けているだろう

解散して乗り込んだ車の
ドアを閉めるなりあなたは言うのだ
「あー またみんなにあいたい
 あした あいたいなー
 ぼく かなしい
 みんなにあいたいよー」
なんだその涙声は
期待通りで
思わずこちらもぐっと詰まるじゃないか

 ホームシックハ イチドダケ
 フツカメニ オヒルネサセヨウトシタラ
 「ボク マカチャンヤ オカーサンノホウガ スキダッタ
  コンナトコ クルンジャナカッタ ボクガマチガイダッタ」
 ト イイマシタ
 デモ ウルトラマンノウタヲ ウタッタラ ゲンキニナリマシタ

先生から受けた内緒の報告を腹の底にしまい
同じ名前の子がいた話や
いつも隣に並んだ友達の話や
リーダーのことや
ご飯のことや
おふろのことや
覚えた歌やを
順序もなく話してくれるのをこそばゆく聞く

「やままつりで わんぱくたいしょうだったよ」
やままつりって何?
わんぱくたいしょうって何なの?
「……うーん……いえないの
 そんなの ことばでは いえないの」

そのひと言を 待っていたよ
楽しかったんだね
よかったね











23:01:01 | 小さき人たち | コメント(0)

 2006.08.07 Mon












刺激的なイベントを終え 平凡な日常に戻ったことで 何となく情緒不安定な兄と


お兄ちゃんが帰ってきたことが ただただうれしくて 何を言われても上機嫌な妹











 
16:39:32 | 小さき人たち | コメント(0)

 2006.08.09 Wed






水音で目が覚める

身を起こすと

流れのふちにいると気付く

覗き込む水面は揺れて

水は澄んでいるのに底は窺えない

そっと手を浸す

冷たさが心地よい

水をもてあそぶ指が つんと冷えて

もう止そうと思った瞬間

水の中 何者かに強く手を握られ

あっと思う間もなく

流れに引き込まれてしまう











23:53:03 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.10 Thu





午前2時 闇の中 鳴き続ける蝉

午前9時 青く金属の光沢をもつ体に 黒い翅のトンボ

午後2時 左の下翅を欠損しつつも上手に飛ぶ 大振りの揚羽蝶

午後6時 巣を叩き崩すとバラバラとこぼれ出た 鮮やかな黄緑色をした蜂の幼虫

午後11時 飼育箱のなか翅を広げて飛び 激しく蓋に打ち付け落ちる 独り者のカブトムシ











22:55:29 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.11 Fri










      きみと はなす わたしは ときどき ただの こども














23:44:38 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.12 Sat












      私のよく知るあなた      私をよく知るあなた














23:04:18 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.13 Sun






何かを変えるのは 必ずしも 直接的な働きかけではない
けれど
今 ここで
君の手が必要であったり あなたの言葉に救われたり

ひとり決めたことを
誰かにそれでよいと認めてもらうことで
迷いなく次へと動き出せる

力をくれる人がいて
私は私でいられる

私には 何も返せるものはなく
ただ私としてきちんと立つことしかできないのだけれど

















18:44:28 | 未分類 | コメント(1)

 2006.08.16 Wed






先週に比べて蝉の鳴き声が小さくなった

裏手にある神社の参道は
気をつけないと至る所に蝉の死骸が落ちていて
うっかりすると踏んでしまう
サクッと枯れ葉のような乾いた音がして
あれほどのエネルギーを放つ生き物であったことを疑うほど
それはあまりにも物体なのだ

地上で7日間しか生きぬという命の
大半の営みは地中の10年間にある
私たちはその
虫にしては長い生き様の最後の
目に見える一瞬だけを捉えて
蝉をこういうものであると位置づけている
地上に現れ
殻を脱ぎ捨てて成虫になるけれど
脱ぎ捨てた時点で蝉に残された時間は
その抜け殻の重量ぶんもないというのに











15:35:51 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.17 Thu












確かめないと不安

確かめると なお不安

確かめられないことばかり

確かめてしまう













15:04:17 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.18 Fri












大人になると
「正直でいてよい」と
許してもらえる場所は
いくらもない



                  その場所を
                  たったひとつ
                  見つけるかどうかで
                  幸せは決まる












23:15:37 | 未分類 | コメント(1)

 2006.08.19 Sat









旅 が  私   を    あ     な      た        か         








                                    ら












                                     引き離す











00:12:31 | 未分類 | コメント(1)

 2006.08.25 Fri












飛行機を乗り継ぎ
激しく揺れる船にマネキンのように運ばれ
この国の
西の果てであるという島に着く

入り日が遅く
7時を過ぎても驚くほど明るい

日差しは
ぎらつくよりむしろ私にぴったりと寄り添い
密かに浸透して
その熱を私の血液に注ぎ込む











01:00:19 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.25 Fri












浜辺に打ち上げられたおびただしい珊瑚のカケラは
本当に人骨の気配を漂わせていた
打ち合わせると華奢な音がして
糸で吊るせば少し愛らしくなる気がした

形を選んでいくつか持ち帰り
水に晒す

水を換えようとして
ひとつ洗面台に落とし
小さく欠いてしまった

そのかけらをそっと拾い上げた瞬間
同じ手つきで父の遺骨から拾い上げた小さなかけらが
私の部屋の引き出しの中にしまってあるのを思い出した

いつか
父を海に還すのだと思って
あの日こっそり持ち帰った

今日
ここへ持ってくればよかったのだと思った












01:14:14 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.25 Fri












「もしもし、やまねこレンタカーですか。
 は、失礼しました、間違えました。」

リダイヤルの操作を誤って
おかしな間違い電話を実家にかけてしまい
夫が苦笑する

すっかり思い込んでかけているので
母親の声とは気付かず丁寧に謝った夫の様子と
義母もまさかそれが息子からの電話とは思いもよらず
あっさり切ってしまったことが
あとになって無性におかしい












01:22:28 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.25 Fri






我が身を生かすため
他の木に巻き付いて陽の光を目指す蔓の動物的な曲線が
植物の明確な意志をあらわにする

巻き付いた木の邪魔をせず
程よくおこぼれを頂戴するだけのものと
巻き付いたら最後網目状にその木を覆い
精を吸い尽くして絞め殺し
やがて中の木が朽ちてなお
ウロとなった身が天を目指すものと

見上げるこれ程の高さになるまでに
どれだけの時間が経っているのだろう

締め上げられ吸い取られつつこれからも日々を生きる木に思いを寄せる
まだ若く巻き付く相手を捜して傾いでゆく蔓の探る気配に思わず身を縮める

話の分かった顔をして
「僕ここでずっと立ってたら巻き付かれちゃうの?」
と子どもが不安げに尋ねる
大丈夫だよと笑って応えながら
動物にはそれほど時間がないのだと思い知る















01:46:39 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.25 Fri












魚は 魚としての時を生き
波は 波としての動きを繰り返し
ただそこにある

そのことに触れるために
私は 私としてここへ来たように思う














01:52:20 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.25 Fri






大振りの白い蝶が
島のあちこちに悠然と舞う
近づけば
黒い筋の模様が美しい

蝶園の係員に示された
思いがけず黄金の蛹に目を見張る

毒を持つ植物を食んで育つため
身の内にその毒を蓄えている
ことを鳥や他の捕食者に教えるための色

このまがまがしい輝きに心奪われる鳥は
本当にいないのか
命を惜しむよりも
この美しい生き物を
食するという形で征服したい衝動に駆られる愚かな生き物は
野生の中にはいはしないものなのか

私が鳥であれば
はたして














02:10:05 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.25 Fri



旅の支度はいつも私を少し不安にする
長旅であるとか
遠方であるとか
見知らぬ場所であるとかいうこととは無関係に
二度と「ここ」へは帰れない予感を反芻しつつ
荷物を詰めるのがいつものくせだ

子どもの衣類を宿泊ぶん数えながら
旅の途中で事故に遭い子どもを失った私が
葬儀の弔問客に頭を下げるのも忘れて呆然としている情景が頭をよぎる

夫が持ち歩く予定の鞄にビーチサンダルを入れるか迷いながら
旅先で突然倒れた夫がそのまま意識不明で回復の見込みはないと宣告され
泣きながら義母に電話をかける私は何と切り出すのだろうと想像する

自分の洗面具や化粧品を揃えながら
私の死後遺された夫と二人の子どもはこの家に暮らし
何日くらいで子どもたちは母が二度と帰らぬことを受け止めるのだろうと思ってみる

カメラのバッテリーを確認しながら
明後日の朝刊の1面に大きな写真とともに掲載される飛行機事故の記事と
3面に小さく刻まれる私たち家族四人のカタカナの名前が目に浮かぶ

心楽しい旅先での予定に思いを馳せつつも
これらの不吉な予感はいつも私の中に起こり
二つの相反する物語は
二つのスクリーンに同時に映じてどちらをも妨げない



私の勘は当たらない

幼い頃
初めてひとりで留守番をした日
不安でたまらない私の頭の中には
出掛けた家族のありとあらゆる不幸な場面が思い浮かんだ
小さな私はもっと小さくなって
ただ時計の針が進むのを祈るように見つめていた
失うことに馴れていなかった幼い私は
失うことのリハーサルをひとり重ねることで
いつ来るか知れない堪え難い現実を受け止める練習をしようとしていた

時が経ち
何事もなく帰宅した家族を平静を装って迎えながら
さっきまでの私の中の嵐は何だったのだろうと拍子抜けした
その後も
どんなに恐ろしい状況を予想しても
家族は必ず帰ってきた

いつの間にか私は
想像する場面が悲惨であればあるほど
それだけ家族が無事である確率も上がるように思いはじめた
私の勘は当たらないのだから
思いつく限りのことを思い浮かべれば
それらは全て回避できるのだと思った

すっかり大人になった私に
現実の家族の死は不意に訪れた
父と祖母
1年も隔てず立て続けに起こった肉親の不幸は
どちらの抱える病にもどことなく馴れた日々の中に突然起こった

隙をつかれた気がした

そのあと私は
かなり明確に意識しながら
何か大切な予定があるたびに
祈るような気持ちで
その都度考えうる最悪の状況を想像する習慣をつける

旅の支度が終わる頃
私のおかしな妄想も終わる
このところ最後は決まって
若い一家を失ってすっかり老け込んだ義母と母が
慰め合う言葉もなく手を取り合ってうずくまる光景を見ながら
はちきれそうな鞄のファスナーを締める





20:55:27 | 未分類 | コメント(2)

 2006.08.25 Fri






私は生まれてこのかた自分が人間であることを一度も疑ったことなどなかったけれど
実を言うとこのところちょっと自信がない
数年前ストレス性の不整脈が出た時
どうしても心配ならペースメーカーを入れることになりますと言われ
体の中に機械を埋め込むなんてごめんだと思ったけれど
最近再発した原因不明の不整脈や近頃時おり感じる目眩や
思い出せなくなったいくつかの記憶や
逆に頭から離れない断片的な得体の知れないイメージは
私の意思や思考で制御できない見えない力によって
私にもたらされているように思われてならない
家族旅行で沖縄に行くため飛行機に乗ろうとしたら金属探知器のゲートで引っかかった
係の女性がハンディタイプの機械で全身くまなく探ると
背中の真ん中でピーピーと反応が出た
周囲の視線を感じつつ案内されて別室へ
着ているものを脱がされてもう一度機械を当てるとやはり背中の真ん中で機械が反応する
「ペースメーカーか何かですか」
尋ねられても身に覚えのないことで答えようがない
「この辺りに何か金属のものが」
彼女の指先が触れるのを背中に感じたとたん
ビッと電圧の高そうな音がして係の女性は無言でその場に倒れてしまった
怖くなった私は急いで服を着て部屋を出た
廊下に人影はなく突き当たりのドアを開けて出るとさっきの手荷物チェックのゲートに出た
夏休みの混雑で仕事に追われる係の人は誰も私に目をくれず忙しく立ち働いている
そっと脇をすり抜けてロビーへ戻ろうとして1人のガードマンと目が合った
その瞬間ガードマンの両目から見えない光線が出て私の目を貫き
背中に埋め込まれた機械に何かの信号を送り込み設定を変えた
のだと気がついたとき私は家族とともに沖縄行きの飛行機に乗るために
再び手荷物チェックの列に並んでいた
「お父さんこれ何?」
「荷物をこっちに預けてこの中を通るんだよ」
夫も子どももまるで初めてのような会話をしている
私の番が来てゲートをくぐる
何事もなく通り過ぎ私はさっき別室で私に触れて倒れたはずの女性係員に
「荷物をお取りください」と笑顔で促された











21:03:11 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.26 Sat






うぇーあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんでぃー
うぇーあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんでぃー

亜熱帯ジャングルの中
虫とは思えぬほどなまめかしい低音で蝉の声が響く
湿度が高いのは空気だけではない
形も色も重さも動きも音も
同じ浸透圧を持って混ざり合い
また均質に分離しそれぞれを主張する

スコールが来て
羽織ったレインコートの下は
降り注ぐ大粒の雨に等しい汗で
内も外も隔てなく濡れる

ビニールを通して雨と汗が混ざり合う(かのようだ)
(ビニールを通して体と森が混ざり合う)のだ

色は色だけでは存在できず形を伴う
形は形だけでは存在できず重さを伴う
重さは重さだけでは存在できず動きを伴う
動きは動きだけでは存在できず音を伴う
音は空気を波立たせ
私に届き
私を誘う

うぇーあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんでぃー
うぇーあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんうぇあんでぃー

誘われるまま森の奥へ
この島というひとつの巨きな命へと溶け出す私を
ビニールコート一枚で止められはしない











21:18:41 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.26 Sat






混ざり合う光景

海と川
その水が互いに向かって
流れ込み 流れ出す

人工物と自然
密接に隣り合い
分け入るほどに 抱き込まれる

水と空気
湿度80%のなか
水を飲むように呼吸し 呼吸するように水を飲む

植物と動物
種の繁栄のため
動物のように伸び 植物のように擬態する

生と死
神々の住む場所があり
生者と死者は そこでおちあう
















21:46:57 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.26 Sat






四日間 家を空けただけで
がなり立てていた蝉の声がはたりと止んだ朝を迎える
耳をすませばいくらか鳴いているものもいるが
ずいぶん遠く
あまりに弱く
ついこの間までの目覚まし代わりの力はない

「だからぼく ねぼうしちゃった」

旅の前
おびただしい蝉の死骸に怯えた子は
この変化にいち早く気付いていた











23:42:17 | 小さき人たち | コメント(0)

 2006.08.26 Sat












               爪の色を落とし

               短く切りそろえ

                旅を終える














23:44:49 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.27 Sun






二人「いまから かいじゅうと うるとらまんの しばいをします。」
イセ「がおー ぎゃおー がーおー!」
マカ「これは かいじゅうが まちであばれています。しゅわっちー!とう!とう!こらー
   かいじゅう! このまちを こわさないで!」
イセ「そんなんゆってもきかんので。がおー ぎゃおー!」
マカ「とう!たあ!えい!」
イセ「がおがおがおー!」
マカ「あ いったぁ。」
イセ「ごめん。でも しばいやからね。」
マカ「うん。」
イセ「ぎゃーおー がーおー!ここで みさいる うたないかん。」
マカ「あ そか。ぱしゅーん ぱしゅーん!」
イセ「ぐあー ぎゃー ぐおー。」
二人「これで うるとらまんと かいじゆうの しばいを おわります。」
イセ「できたね。なんかいも れんしゅうしよ。」
マカ「こんど マカちゃんが かいじゅうね」
イセ「いいよ。せーの、」
二人「いまから うるとらまんと かいじゅうの しばいをします。」……











20:53:22 | 小さき人たち | コメント(0)

 2006.08.27 Sun












飛行機の窓から見下ろすヒトの住む街

シュノーケルをつけて見下ろす魚の棲む街

ここが

空なのか 海なのか

分からなくなる











22:26:59 | 未分類 | コメント(0)

 2006.08.27 Sun












イリ(西)に面した島
この国の最後に日が暮れる場所
ここまで太陽を追いかけても
つかまえられるわけでなし

叶わぬことを追うのはやめだ
ここまで来てみたことが
きっと私の中に残る

アガリ(東)に向かって飛び立つ飛行機が
私を暮らしに引き戻す
けれど
「暮らす」のはやめようと思う
せっかく昇ったティダを
ただ暮れさせるためにその日を生きることはするまい

太陽を目指して足許を見失うより
照らされた地面を確かめ
どこへも行かずここに立つ
ことから
はじめたい














22:54:18 | 未分類 | コメント(0)
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