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 2006.10.01 Sun












足を踏み入れると
引き締まる気持ち

ここで と 思う
ここから と 思う

新しい場所
新しい呼吸











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22:24:44 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.01 Sun






窓 ノ 向コウ ノ 

        雨 ノ 向コウ ノ

                雲 ノ 向コウ ノ

                        空 ノ 向コウ ノ

                                     月。











23:35:00 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.02 Mon






なにかが おりてくる

つめたいえりくびから

せぼねのなかをとおって

かかとからでて つちにしみこむ

わすれたころに また おりてくる

でんわしてるとき とか

せんたくものをとりこむとき とか

やわらかい つめたい ものが

うえからしたへ

わたしを とおりすぎてゆく











12:47:51 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.03 Tue












         かぜに さらす からだ かるい





         みずに ひたす こころ ゆるい











08:18:03 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.04 Wed






切られたのだ

チェーンソーの音

大きな裂け目があるから
台風のたびに
 あぶない あぶない

今年の台風は
たいした風を起こすことなく
 だいじょうぶ まだ だいじょうぶ

では なかったのだ

思わぬタイミングで切り落とされる身の一部を
楡の木は何と思って見送っただろう

男が3人
1時間以上かかって作業
立ち去ったあとの
なんともサッパリとした風景

ところが
あまりに木は大きいので
気づかないのだ
下を通る人は
 なにかちがう いつもとちがう

それが頭上のことであると
この大きな木の5ぶんの1のできごとであると気づかないまま
少し向こうの
かんかんと鳴る遮断機の
黄色い電車を通すのをちらと見たりしながら
通り過ぎてゆく





17:07:21 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.05 Thu





まだ見ぬ君の

が見える気がした
同じ気持ちで
しばし心を鎮めようとしていた

まもなくわたしたちは出逢う

そのことがあらかじめ決まっていることの不思議
待ち受けるその一瞬が確かに近づく皮膚感覚
まだ見ぬ君が今
私を想っているという 確信

引力が
君と私の心臓を
ひとつところに引き寄せる











01:30:30 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.05 Thu












            イッテキマース。











19:13:55 | 未分類 | コメント(1)

 2006.10.09 Mon











            タダイマ!











19:29:44 | 未分類 | コメント(0)
参加者の皆様へ ~お知らせとお願い~
 2006.10.09 Mon


いつも裸感果にすてきな言葉をありがとうございます。
また、コメントはいただけなくとも、
これまでの活動を温かく見守ってくださった方々の存在なくしては
このブログはこんなに続かなかったと思います。

皆さんとの言葉の交流が、私に大きなプレゼントをもたらしてくれました。
感謝の気持ちでいっぱいです。どうもありがとうございました。

実は、このたびの詩のボクシング全国大会での優勝を機に、
裸感果のパスワードを再び解こうと思います。
よりたくさんの方に、ブログをご紹介したいのと、
新しい読者の方にも、
これまでの皆さんの言葉に触れてほしいというのがその理由です。
ただし、初期の混乱の原因となったような自由な投稿ではなく、
コメント自体は全て受け付けますが、
その掲載は勝手ながら主催者の承認後とさせていただきたいのです。

これは現在ご参加・閲覧の皆様からいただいた言葉を
優劣で選別するためのものでは断じてありません。
皆様の投稿に関しては、これまで通り無条件で掲載させていただきます。
ただ、掲載前には一旦投稿者を確認させていただくため、
私が皆さんからいただいたコメントに目を通すまでは画面に影響しないということになり、
少し時間差ができてしまいます。
それを、どうか許していただきたいのです。

相変わらず私には、
見知らぬ人とは親しく文字でおしゃべりができないという頑さがあります。
公の場で思いがけぬ評価をいただいてなお、
自分の中に閉じた部分を感じます。
けれど一方では、刺激的な新しい出会いに充実を感じ、
裸感果の世界をより開かれたものとして、皆様と一緒に発展させたい思いも生まれました。
それ故の、今回の方針の転換です。
つたない説明で、この気持ちがご理解いただけるでしょうか。

どうか、わがままをお許しください。
そして、これまでと変わらず自由に皆さんの思いを言葉にしてお寄せください。
心よりお待ちしています。

ご意見は直接メールをいただくか、RAKANKA ESPACIOにお寄せください。
今週いっぱい、検討させていただきます。
どうかよろしくお願いします。

木村恵美




21:35:54 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.14 Sat












         OPEN SESAME !











21:58:43 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.15 Sun



子どもに添い寝の昼下がり
うとうとしたあと ふと目が覚める

まだ眠いせいで身動きがおっくうだ
まぶたが重い
何度かまばたきしてみたが
まわりは妙にぼんやりしている
頬の辺りが痒くなって手をやろうとしたら
タオルケットがまとわりついて腕が上げづらい
反対の手でほどこうとしたら
こちらもシーツに捕われていた
眠気を払ってしっかり見ようと頭を振ると
顔のまわりでがばがばと大きな音がする
驚いて一気に目が覚めた
私の頭を何か半透明のビニールのようなものが覆っている
慌てて取り除こうとしたが手の自由が利かない
ビニール越しに目をやると
まとわりついているはずのタオルケットもシーツもなく
どうやら私は
指の先まで全身ビニールで覆われているらしかった

頭に血が上る
「子どもは、子どもは……!」
隣を見ると子どもたちはぐっすり眠っている
大丈夫 死んでいるのではなさそうだ

全身に力を込めて身を起こすと
背中から腰にかけてのビニールがばりばりと破れた
立ち上がろうと膝を立てると
ももから膝に破れが走った
覆われたままの手で足のビニールを脱ぎ捨てる
むりやりちぎると手の指先が少し自由になった
おかしなことにビニールは肌に貼り付いて下着の内側を通っている
仕方がないので服を脱ぐ
下着も脱いで
背中の破れ目からビニール越しにつかんで力任せに引っぱると
ガサガサと音を立てて上半身のビニールがいっぺんに脱げ落ちた

なんだこれ

顔面の覆いが取れて視界がはっきりする
布団の上に散らばった半透明のビニールを
しゃがんでつまんで修復してみる
ほぼ等身大の私の形をして布団の上に復元されたビニール
ではない
これは皮だ
私の皮だ

指先で肌に触れてみる
いくぶん脱皮前より柔らかい気がする
もしかして
ちょっと色も白くなってるかも

鏡を見に行こうとしたら
下の子どもが寝返りをうった
タオルケットと間違えて私の皮をつかんで引き寄せる
息を殺してひと呼吸待ち
そっと子どもの手から皮を離す
下着を付けて服も着て
なるべく音を立てないように
私は私の皮を丸めて抱いて
こっそりドアを開けて部屋を出る
階下に降りて勝手口の分別ペールの前に立つ

ビニール ではない これは皮
だから 
プラスチックごみ ではなくて もえるごみ

ペールのふたを開けて投げ込む
その前に私は
手近にあった分別ハサミで皮の端っこを切り取った
これ どこだろう
分からないけど大事にしようと思う
脱皮なんてめったにないことだし
お財布に入れとくと
もしかしたらお金がたまるなんて話 なかったっけ






23:28:56 | 未分類 | コメント(0)
詩のボクシング全国大会用テキスト・1
 2006.10.16 Mon



隣の席の客にイカリングフライ定食が届いた。
その客が、ひとつ食べ終わらぬ間に向かいの席にもイカリングフライが運ばれた。
見ると相席の男はミックスフライランチで そこにもやはりイカリングが二つ。
この速さでイカリングが増え続ければ、
注文したばかりの私のハンバーグ定食が届くまでに、
店中の客がイカリングフライを食べさせられるかもしれない。

「お母さん、あのおじちゃんが食べてるドーナツ僕も食べたい」
「マカちゃんも」
「シッ! 子どもたち。 あれはドーナツでありません。
 イカリングフライです。見ててごらん、今に恐ろしいことが起こるから。」

ほら、あの音。この匂い。まだ揚げている。
今にあの窓口から、おびただしいイカリングフライが送り出されるのだ。

逃げなくては。転ぶ子どもの手を引いて、店の外へ出なければ。
ドアを引き開け、振り向きざまに見た、
トレーに山と盛られたイカリングフライとウェイターの光る目。

「料理人よ、やめろ! イカリングフライを揚げるのは。」

走り出す私の背中に サカサカとイカリングフライの迫る音がする。
泣き叫ぶ子どもを両脇に抱え、人影のない通りを駆け抜ける。
「料理人よ、やめろ! イカリングフライを揚げるのは。
イカリングを揚げずに、ハンバーグを焼くのだ! 」
降りかかるパン粉、むせ返る油の匂い。
心なしかぐったりした子どもたちを引きずって私は走る。
走れ、走れ、交差点の向こうへ!
走れ、走れ、境界の向こうへ!

信号の変わる気配に私は猛然とスパートをかける。
気付いたイカリングもその回転をフルスロットルに上げて追ってくる。
「熱っ!」
こうなったらあれしかない。
私はポケットから消費期限の切れたタルタルソースを取りい出す。
こんなこともあろうかと、
先日冷蔵庫の片隅から半年ぶりに発掘したのを捨てずに持ち歩いていたのだ。
「子どもたち、しっかり捕まっていなさい! たあー!」
横断歩道まであと数歩。
子どもたちを抱え直して、再びダッシュで駆け出せば、背後に感じる熱気が薄れ、
匂いのない風に迎えられて向こう側へ、渡る。

「やったぁ! やったぁ! お母さん、はやかったね!」

赤信号とタルタルソースに止められて、すごすごと引き返すイカリングの群れに
スローモーションで手を振る子どもたち。

「ばぁいばぁぁぁい、いぃかぁりぃんーぐぅーう」

イカには悪いが、 あんな食感のものにまみれて死ぬのだけは、ごめんなのだ。





20:23:53 | 未分類 | コメント(0)
誌のボクシング全国大会用テキスト・2
 2006.10.16 Mon
玄関を出たらやられた。Tシャツの胸にべったりと黄色いものが張り付いた。
あっと思う間もなく肩に、次の塊が飛んで来た。
確かめようとする私の頭に、手の甲に、腰に、
パイ投げのように黄色い絵の具の塊が飛んでくる。
慌ててドアを閉め、したたる黄色を手で受ける。
「しまった。久々にやられた」

夕日の光線が、ときどき液体化して飛んでくる。 この季節、この辺りでは風物詩。
沈みきる間際の太陽が、最後の力を振り絞るようにその光を凝縮させて投げてくる。
グレープフルーツ大の無数の液体光線が降り注ぐ街。
「今日のはちょっと濃いめだな」
付いてしまったら仕方ない。レンズの穴から外を覗く。
あっ あれはヤマナカさん。買い物帰りを襲われて黄色にまみれて立ち往生している。
重い物でも買ったのだろう、肩から下げた大きな買い物袋も、
黄色い絵の具でずっしり重さを増している。
今日はサラダオイルお一人様2本限りの特売日。
荷物の重量は何キロくらいになってるだろう。

必死で顔を覆っていたが、
ずり落ちかけた袋を押さえた拍子に、 その顔面に液体光線が命中した。
よろけるヤマナカさん既に靴が埋まりかけ、足を取られて黄色の中に倒れ込む。
と、ほとんど同時に表通りから聞こえるクラッシュ音。
「ホラ、またシロウトさんがジコった。」

 この辺りの人は馴れているので、ひとつ飛んで来た時点で車を止める。
液体光線が飛んでくるのはせいぜい3分間。
急いでる時の3分はキツいけど、下手に動いてジコるのはバカらしい。
太陽が沈みさえすれば、どんなに積もった絵の具の山も、跡形もなく消えるのだ。
とりあえず今はヤマナカさんの救出だ。
3分待てば消えるけど、まともに食らって窒息したのを3分放置したら死んでしまう。
 手近な傘を握りしめ気合いを入れる。
ドアの隙間から傘だけ出してまず開き、その陰に隠れつつ外へ出る。
足元はもう黄色の海だ。ぬるぬる滑って歩きにくい。
ばんばん飛んでくる塊に、傘はすぐ重くなる。
バランスとって歩みを進める。突っ伏しているヤマナカさんまで約5メートル。
「ヤマナカさん、ヤマナカさーん、大丈夫ですかー」
黄色が積もってどっちが上か分からなくなってるヤマナカさんを助け起こす。
この辺が頭のはず。
見当つけて、黄色かき分けガバッとすくいあげる。
ぼたぼたと液体光線たらしてヤマナカさんが現れる。
「げほげほ。わぁキムラさん、すいません」
「大丈夫ですか、間に合った」
「いやぁ、やられちゃいました。油断しました。
傘くらい持って出ればよかったんですけど、   
 今日はサラダオイルお一人様2本限り……」
「ヤマナカさん、話は後です。とりあえずウチへ」
 傘の重みが限界だ。
ぬるぬるした手をぬるぬるつないでぬるぬる立ち上がる二人をめがけて、
液体光線は容赦なく降り注ぐ。
身の危険を感じつつも思うように足は進まない。
「あ、サラダオイル」
「ヤマナカさんお願いです、3分経てば消えるんですから」
右手にヤマナカ、左手に傘。
ぬるぬるの足元ぬるぬる進めてあと少しでぬるぬるの玄関。
と、そこで我々が目にしたものはぬるぬるの液体光線にぬるぬる塗り込められて
ぬるぬるのドアはぬるぬるの取っ手さえもぬるぬる埋もれたぬるぬるの壁。
ぬるぬるの傘をぬるぬるのヤマナカさんに預けてぬるぬるの壁をぬるぬるかき分け
ぬるぬるのドアのぬるぬるの取っ手をぬるぬる探すぬるぬるの私の
ぬるぬるの頭やぬるぬるの背中に降り注ぐぬるぬるの液体光線に叩かれて
ぬるぬるの壁にぬるぬる塗り込められるぬるぬるの私の体。

これだから、玄関を西向きに取るのは反対したのだ。





20:30:29 | 未分類 | コメント(0)
誌のボクシング全国大会用テキスト・3
 2006.10.16 Mon



子どもの頃に見た図鑑。
見開きいっぱいに進化の歴史をわかりやすく綴る文章の下、
海となく陸となく、おびただしい生物が極彩色で描かれていた。
そのひとつひとつの生物の右肩には小さな活字。
誰が いつ 名付けたのか。
空想で描かれた太古の異形のものたちはすでに、
それぞれの種を識別するための名を持たされていた。
だれもみないのに。
だれもしらないのに。
どれももういないのに。
ヒトは名付ける動物だ、と、そのとき思った。吐き気がした。

名付けることが恐ろしくている。
自分の所有物でもない物に次々と名を付ける傲慢な生き物。
自分もその一員であるということが
身悶えするほど恨めしく疎ましい。

子どもが生まれたとき、名を付けることを迫られた。
子という所有物に名付けることを許される親の特権。
しかし目の前の存在は、
何者かに所有されているという自覚を持っているとは思えなかった。


 おかあさん あれはなに?

 あれはお月さま。夜の穴だよ。
 あそこから、いろんなものがやってくる。
 背中にみっしりと毛の生えたカエル。
 片脚が針でてきたニワトリ。
 ウロコのあるウサギ。
 羽根のないチョウ。
 ゼンマイのとけたサカナ。
 ときどき天使も来るけれど、大丈夫、みんな何もしやしない。
 困るのはあの風さ。
 聞こえるだろう。
 あの穴を通るせいで、ぞっとするような音がする。
 耳を塞いで、もうお眠り。
 あんまり聞くと、体に悪い。
 あの音は、お前の中からマエの記憶を引きずり出す。
 知らなくていいことさ。
 お前がどんなものとして、最初にあそこから来たのかなんて。


愛おしさが日々募るほど、この存在を所有してしまいたい衝動が
しまいきれずにもてあます。

せめてもの思いで、
上の子は ひとりで成長するように。
下の子は 人々の中心で守り育てられるように。
どちらにも、 
私から一番遠いところへ育って行くよう願いを込めた。

夫に言わなかった、
これが本当の意味。





20:34:02 | 未分類 | コメント(0)
詩のボクシング全国大会用テキスト・4
 2006.10.16 Mon



君に会いたくて船に乗る夢を見た。

実家からほど近いさびれた港に、私は立っている。
待ち合いには私の他に、白髪の老婆が長椅子に膝を縮めて横になっているのと、
作業服のようなものを着た中年の男が目を閉じて座っているだけ。
時刻表を見上げたが、メガネをかけ間違えて来たのかぼやけてよく見えない。
無人の窓口に「すみません」と声をかけたが、返事のないことを予感していた。
何度か呼んであきらめて、べンチに戻る途中で老婆にスカートの裾を引かれた。
「何ですか」耳を寄せた私に囁かれる声。
「船に乗るんやろう。その腹の子、預かってやる。」
気付けば私は身重なのだった。

老婆に掴まれたスカートの裾が重い。
作業服の男に助けを求めようと見ると、いつの間に席を立ったのか姿がない。
「放してください、放してください。」筋張った指を押し開きながら振り向くと、
窓口の中に係の女が座っているのが見えた。
「あの、すみません。」
カウンターに駆け寄ると、老婆が長椅子から転がり落ちた。
「お乗りになりますか。」
赤い爪がチケットを差し出し、
私は金を払うことを思いつきもせぬままそれを受け取るのだった。
裾を放さない老婆を引きずって桟橋へ出る。
見るとそこに泊まっているのは、先ほど消えた作業服の男が櫂を握る小さな舟。
男は相変わらず目を閉じている。
この舟で私は君に会いに行けるのだろうか。
ためらう私はふと視線を落とし、腰にまとわりつく重いものが老婆ではなく、
へその緒からませた赤子であることを知るのだった。

「これでは、舟に乗れるわけがない。」

生まれてしまった赤子を拾い上げる。
ふと波音がして、見ると小舟は今しがたこぎ出されたばかり。
目を閉じた男は眠るように揺れ、握った櫂が押し引きされるが、
この男は間もなく海に落ちるに違いないと思われて目が離せない。
腕の中の赤子が動く。
このあと私は、さっきの窓口の女に頼んで湯を使わせてもらおうと思っている。
思いながらも、いつ落ちるか分からない舟の男が気になって、
その場を去ることができない。
離れて行く小舟は少しずつぼやけて行く。
メガネに手をかけてよく見たいたいが、赤子が滑って手を離せない。
目を凝らした小舟の中に、そのとき私は、
男の足元にもう一人乗り込んでいるのを見るのだった。

あちら向きに座り込んでいる頭と肩は女のようだ。
揺れる小舟の縁を掴んでいる爪が赤く塗られているのだけがなぜかくっきりと見え、
私はそれが、この港を出る最後の船であったことに気付くのだった。





20:36:15 | 未分類 | コメント(1)
誌のボクシング全国大会用テキスト・5
 2006.10.16 Mon



 さあ願いごとを ひとつかなえましょう
 銀の盆にあふれる 涙と引き換えに

東の谷の霧の奥に
美しい娘が住んでいた
水辺で歌うその姿に
銀色の魚が恋をした

歌う声が 風をわたる
銀の魚 身を震わせる

 さあ願いごとを ひとつかなえましょう
 銀の盆にあふれる 涙と引き換えに

歌う唇に触れたくて
魚は今と心決めた
娘の放つ網にかかり
募るこの思い遂げようと

白い腕が 網をたぐる
銀の魚 身を躍らせる

 さあ願いごとを ひとつかなえましょう
 銀の盆にあふれる 涙と引き換えに



      捕らえられた魚は、娘によって料理され、
      その夜、願いかなって彼女の唇にたどり着いた。
      家の外には古い井戸。
      月明かりに照らされて、
      娘が魚をさばくのに使った銀の盆がひとつ、
      片付け忘れられている。
      その上に、きらきらと輝きあふれるもの。
      数えきれない 魚の鱗。





20:38:25 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.17 Tue






さむー。さむいよー。うー、さむー。
あ、わかった。冷たいおしっこが体の中にあるからや。

      それは逆だよ。おしっこはあったかいの。
      あったかいおしっこが出て行っちゃったら、
      もっと寒くなるんだよ。

えー! そうなん?
じゃあ僕、もう今日はおしっこしませーん。

      いやそれは……。












08:12:58 | 小さき人たち | コメント(2)

 2006.10.17 Tue












          忘れた振りをした私に





         あなたも気づかぬ振りをした











21:45:12 | 未分類 | コメント(1)

 2006.10.18 Wed












   あなた と わたし を つないでおくには どんな 鎖 が 要るだろう

   あなた と わたし を 断ち切るためには どんな 刃 が 要るだろう











00:20:00 | 未分類 | コメント(1)

 2006.10.18 Wed












       私たちが影響しあうのは 互いがべつべつだからだと思う
      私たちは影響しあうために これからもべつべつであり続ける











13:45:09 | 未分類 | コメント(2)

 2006.10.19 Thu





ヒトの体の80%は水だから
それを全部涙で出し尽くすにはしばらくかかる





                     涙の底に 何か書いてある





自分の奥底に用意されている答えを読むために
ただひたすら涙を汲み上げる











19:36:57 | 未分類 | コメント(2)

 2006.10.21 Sat






体のどこかに
三つほど袋があって
今日と明日、あさってのぶんくらいまでの言葉が
ざっと分けて入れてある

今日のぶんはあと少し

どうせ残すと腐らせるばかりなので
今日のぶんは今日のうちに使ってしまう
使い切ったら裏返してカスをふるい落とし
三つ目の袋の向こうに回しておく

朝、目覚めるまでにその中に
小人が言葉をシャベルで満たす











23:29:17 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.22 Sun





美しい動きを見つめる子ども

目を 見張る
ではなく
目を 澄ます

いま見えているものを
何ひとつ取りこぼすことなく心に焼き付けようと

いっしんに 目を 澄ます















22:52:00 | 小さき人たち | コメント(1)

 2006.10.26 Thu












うこき たす からた と こころ の あはひ に ひそむ いのち の けはひ











00:53:56 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.28 Sat
腹の中にトゲのある生き物を飼う
食事の度に食べたものの大半はそいつが喰らう

朝食のトースト二枚
では足りずもっとよこせと腹の中でトゲを逆立てる
昨夜の残りの冷や飯2杯にふりかけをかけて食す
コーヒーを飲めば砂糖とミルクをたくさん入れろとしっぽのトゲを振り回す

昼食にうどん3玉
あと4玉食え卵を入れろ卵も7個だとでんぐり返る
喉元こみあげつつ流し込み一瞬の満腹感
は瞬く間に消えてんぷらはどうしたと背びれのトゲ震わせる
かきあげ8枚ちくわ磯辺揚げ9本をむさぼり喰うそのスキに
うどん屋の支払いを素早く済ませ店を出る

体が重い
腹の中で生き物が肥大しているのが分かる
のに車に乗り込む頃には私自身の空腹が満たされていないと気づく
ポケットにあったガムを噛む
うかがう気配があって何を食っているのだ早くよこせと頭のトゲを突き立てる
腹の中は激痛を抱えるが一矢報いた満足感が胸を満たす

胸は満たされても腹は満たされず飛ばす車はそのままコンビニへ
あり金はたいて食料を買いあさる
弁当おにぎりサンドイッチやきそばパスタお寿司サラダ牛乳ジュースお茶コーヒー菓子パン
クッキーポテトチップチョコレートポップコーンキャンディープリンゼリーアイスクリーム
かご2つにあふれて滑り落ちるチーズたらを押さえつつレジのところでおでんと肉まん追加
見かねた店員が荷物を車まで運んでくれる
すみませんそこに乗せてくださいどうもありがとうでも別にどこへ行きもしない
このままここで宴の始まり
空腹の私は手当り次第に袋を破る
腹の中でそれを待ち受けて口を開ける生き物の動きが胸の底辺りで克明に分かる

Ready? Go!
私の食べるのが速いかこいつの食べるのが速いか
私の生存への道は
この生き物の食べ損ねたおこぼれをいかにたくさん吸収できるかにかかっている
噛んでなどいられない味わってなどいられない
片っ端から口に押し込みお茶やジュースで流し込む
荷物を運んでくれた店員は目を丸くして窓から覗き込んでいる
ちょっと手伝ってと目で合図
食べてる私の横で次の袋を開けてもらうついでに食べガラも袋にまとめてもらう
コンビニの買い物客が一人ふたりと立ち止まり駐車場には人の輪ができ始めるが
腹の中の生き物と死闘真っ最中の私は周りにかまってなどいられない
店員を助手に生き残りをかけてひたすら食べまくる
腹の中の生き物はますます成長肥大し私の内側に充満する
トゲが刺さる
私の挑戦的な態度に怒り狂った生き物は
巨大化しつつ暴れつつ尚も私の食料を奪い続ける

その時だ
膨大な細胞分裂の音がしてトゲの生き物は私の等身大となった

私の内側に成長した生き物はまるでぴったりとした「私」の着ぐるみを着て座席に座る
一瞬動きの止まった私の異変を察知した店員は
「……ぼちぼち……やめときますか?」
と手にした最後のいなり寿司のパックを置きかかる
トゲが
生き物のトゲが後頭部から尾骨まで私を突き抜け私をシートに固定している
薄れる意識の中で私は聞いた
トゲの生き物が私に代わって店員に答えていた

「おせわになりましたどうもありがとうそれいただきますこどもがいえでたべますから」




12:55:32 | 未分類 | コメント(0)

 2006.10.30 Mon












   私 の 声 は あ な た の 中 に 今 も あ る か











21:02:26 | 未分類 | コメント(2)

 2006.10.30 Mon












         君からの文字を君の声で聞く

             改行の度に

           君の息づかいを聞く











23:39:38 | 未分類 | コメント(1)

 2006.10.31 Tue




他ごとを考えながら探し物をしていて
間違ってひとつ上の引き出しを開けた
とたんに目に入ったものに
久しぶりに心奪われて
探していたものも
考えていたことも
その場に放り出し
ひととき
ただそれで心を満たす












00:11:04 | 未分類 | コメント(0)
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