2006.11.30 Thu
昨日朝からはたりと食欲が絶え 前夜食したサンマがいつまでも腹の中を泳ぐ 確かに芯までよく焼いて身をはがし 食べ残した頭と骨と尾は あの生ゴミの中であるはずだが 一緒に食べたガンモの煮付けや ブロッコリーやトマトやもずく酢の中の 微々たるカルシウムによって再生された軟弱な骨で 復元された亡霊のようなサンマが腹の底に停滞する 時おり微かな痛み 上げも下げもせぬまま昼が過ぎ 友人など来て気分は紛れるが 腹痛は増し寒気もする 白湯を湧かし湯のみで少しずつ飲み下す 食道あたりはあたたまるが サンマはひやりと冷たいまま 子どもの迎えの時間に慌てて家を出て 幼稚園の中庭に停めた車の中で腹痛をなだめる はしゃぐ子らと口もきかずに帰宅し あり合わせの材料でようよう夕食の準備を整え倒れ伏す 夜になって38度の発熱 家事を休むのにほどよい口実 |
2006.11.29 Wed
ぼうしをかぶる さむいから ではなくて なにかかぶることで ぬぎすてられるものがある |
2006.11.28 Tue
桃から生まれた桃太郎。 ほんならボクら、おなか太郎やね! |
2006.11.26 Sun
高松市生涯学習センター まなびCAN開館5年・合併記念
生涯学習フェスティバル「詩のボクシング」小学生大会 in 高松 模範朗読にて 生きることのスタートを切った君達へ 人生はサーカス サーカスと言えば綱渡り 両手を広げて慎重に 少しずつ足を進める でも いいこともあれば わるいこともある バランス崩して……おっととと……! 落っこちても大丈夫 転んだら 立ち上がって歩き出そう 歩いて 歩いて 歩いて 歩いて 何もない大地を踏みしめて 歩いて 歩いて どこまでも行ける ほら僕らは 地球の上で大きな玉乗りをしているんだ 人生はサーカス!……って ほんとはそういう意味なのさ |
2006.11.26 Sun
高松市生涯学習センター まなびCAN開館5年・合併記念
生涯学習フェスティバル「詩のボクシング」小学生大会 in 高松 楠かつのり氏講演会 「子どもたちに生きたコミュニケーション力を身につけさせよう!」にて 君の作ったモビールが 今もここで揺れていることを 君は知らない 君が書いた小さな言葉の紙切れが 今も捨てられずにこの引き出しにあることを 君は知らない 君の写った写真が 探し物をする私をその一瞬へ連れ去ってしまうことを 君は知らない 君と過ごした時間が 今もこの心をあたためていることを 君は知らない 君がここにいないことで なお君に思い馳せる者がいることを 君は知らない 何も知らない君だけれど 君が君としてただ生きることが どこかのだれかの心の中に 今日また君を息づかせるのだ 何も知らない君なのに それは何とすてきな魔法だろう 何も知らないことと 何もできないことは わくわくするほど無関係だ もっと近づくために もっと遠ざかるために 私たちのあいだに ことばを 満たそう 涙では 流しきれないことや ほほえみで 包みきれないことを ひとつずつことばにかえよう もっと近づくために もっと遠ざかるために もっとわかりあうために もっとすれちがうために もっと愛しあうために もっと傷つけあうために そして もっとゆるしあうために あなたと私のあいだにことばを満たし 私たちは もっとつながろう |
2006.11.25 Sat
君のまっすぐな怒りが 大きすぎもせず 小さくもなく そのままきちんと届きますように |
2006.11.23 Thu
背中の真ん中 肩甲骨のすぐ下あたりが 午後5時をまわると 保冷剤を貼付けたように冷えてくる どんなに厚い上着を重ねても 着膨れた背中に冷たい芯があり 衣服も部屋の壁も通り越して 直接外気と触れあっているような気がする |
2006.11.23 Thu
あどけない面差し 幼い言葉 けれど まっすぐに見つめ返す瞳 全身で応えようとする微かな光が 雨の中 別れ際の輪郭を 闇から浮かび上がらせる |
2006.11.22 Wed
呼吸は いのちのためにある 言葉は いのりのためにある |
2006.11.21 Tue
唇が乾いている はずみをつけてものを言えば 切れて血がにじむ 痛みこらえて言葉を続けるか 傷癒えるまで沈黙をまもるか 水を含んでみても潤うのはその場限りで 飲み下せばもうささくれ立つ 何をしていても唇が気になっている 無意識の指先が 飼いならした痛みを確かめる |
2006.11.20 Mon
蓋のない思い出底なしの郷愁口まで満たす霜月の雨 |
2006.11.18 Sat
鳥はことばを持たない 魚は鳴き声すら持たぬ それでも我と彼を分かち 自在に思いを交わす だから 今 君が 遠く言葉から離れようとすることは 再び思いを交わすための 別の手段を探ること |
2006.11.18 Sat
火にかけたやかん 湯の沸くのがいつもより遅い気がして 何度もふたを取る 火力が弱いのかと覗き込んだが やかんの底をあぶる火は シーシーと音を立ててはみ出し 目盛りは強を示す このくらいでそろそろ 放り込みたい麦茶のパックを さっきから握ったり置いたりしている 電話の声が聞き取りにくく 何度か聞き返す 聞き取りにくいのではなくて 聞いていないのだと思われはしないかと気遣うあまり 数回は聞き取れないまま話を受け流す しばらく話して 頭の中でおおよそのつじつまを合わせ電話を切る すぐさま調整せねば 次の電話でも同じことになると思いつつ この3日ほど同じことを繰り返す 庭の縁の下に潜らせたベビーバスの中に 数匹のメダカを飼っている と思っていたら 気がつけば1匹になっていた 夏を過ぎて餌のやり忘れが多くなり 水を換えるのも怠って すっかり狭くなった生活圏に バケツに1日汲み置いた水を注ぐ 底に沈んだ澱がもくもくと舞い上がり メダカの姿を見失う 澱が 沈むまで 待つ あいだにちょっと草など抜いたつもりが 汚れた手を洗いに家に入り それきりになる 夜になって思い出すが 目覚めれば忘れている |
2006.11.17 Fri
世界中の人と握手を交わすには私の一生は短すぎる |
2006.11.16 Thu
もっと ちかづくために もっと とおざかるために わたしたちのあいだに ことばを みたそう なみだでは ながしきれないことや ほほえみで つつみきれないことを ひとつずつことばにかえよう もっと ちかづくために もっと とおざかるために もっと わかりあうために もっと すれちがうために もっと あいしあうために もっと きずつけあうために そしてもっと ゆるしあうために わたしたちのあいだにことばをみたし わたしたちは もっとつながろう |
2006.11.16 Thu
外へ出た 思ったより寒いので また家に入った 出るも入るも自由だ そんなことが 今日は 心底 うれしかった |
2006.11.15 Wed
マカ「あしたね、ようちえんのみんなで、たむらじんじゃいくんで」 あ、そうか。そうだったね。 マカ「じんじゃいったらねぇ、いちごとあめたべるん」 は? 飴はくれると思うけど、いちご……? マカ「せんせい、ゆったもん。いちごさん、て」 あー、マカちゃんねぇ、それは七五三だぁ、残念……! |
2006.11.14 Tue
君の作ったモビールが 今もここで揺れていることを 君は知らない 君が書いた小さな言葉の紙切れが 今も捨てられずにこの引き出しにあることを 君は知らない 君の写った写真が 探し物をする私をあの一瞬へ連れ去ってしまうことを 君は知らない 君と過ごした時間が 今もこの心をあたためていることを 君は知らない 君がここにいないことで なお君に思い馳せる者がいることを 君は知らない 何も知らない君だけれど 君が君としてただ生きることが どこかのだれかの心の中に 今日また君を息づかせるのだ 何も知らない君なのに それは何とすてきな魔法だろう 何も知らないこと と 何もできないこと は ほら わくわくするほど無関係だ |
2006.11.11 Sat
ページをめくると リュックを背負った子ども 駆けてゆく一本橋 あと少しで渡りきるという所で赤信号 強く足踏みしている じっとしてると落ちるのだ 踏めば踏むほど 橋のもとが崩れるとは知らず 立ちのぼる香りも無く 賞味期限2000,10,31 こそげ取り 湯を沸かして注ぐ スプーンには何度洗っても取れない男の指紋 素早くかき混ぜ 人目を忍んで 口に含めば線香の匂い 干してしまったので 取り込むしかない洗濯物 肌着の間にモンシロチョウをたたみ込む ワイシャツの襟元にイトトンボを 左右の靴下には カミキリムシ カマキリ どの脚も欠かぬようどの翅も折らぬよう 丁寧に返し引き出しにしまう |
2006.11.11 Sat
激しい雷雨のあと とおくサイレンの音 午前零時50分の孤独に 目を上げて カーテンの向こう 君住む町の気配をうかがう |
2006.11.10 Fri
飛びながら キヲツケ をする鳥 羽ばたいては閉じ 羽ばたいては閉じ 浮力0の瞬間を待つ 何度も 何度も 飛行と落下の境界を確かめる 確かめながら目指す 次の場所 何度も 何度も この鳥は 他の飛び方を知らない |
2006.11.06 Mon
ハシゴ ひとつ。 おりますか。 のぼりますか。 わたりますか。 |
2006.11.05 Sun
イセ「ウルトラマンて、デンキたべるんで。ビー。」 マカ「でもウルトラのあかちゃん、おねつがあるかも。」 イセ「ほんなら、おかゆデンキ。ピー。」 マカ「あっ、ゲボがでた。」 イセ「ゲボどめデンキ、ビービービー。」 |
2006.11.04 Sat
月が狙えない子ども 何度ものぞき レンズの先に月を探す ペンタイプの望遠鏡 こちらを向いて 辛抱強く待っている月の顔に 右下から雲がかかる あ、あ、あ、みえなくなっちゃった 父親がクルクルとチラシ丸めて 練習用の筒を作る 雲の晴れるのを待って もう一度 これで狙えたら、そのまま望遠鏡に持ち直してごらん チラシなら容易くつかまえられる月が 望遠鏡の先 ひらり 身をかわす このままなら、ぼくみえるのに 見えてる時は何でもないのに よく見ようとすると見えなくなるもの この先も きっと たくさん |
2006.11.03 Fri
たまには 素直になりなさい |
2006.11.03 Fri
ともすると 左手が 体から離れて行こうとする 右手はとうにそれを知っているが 追ったためしがない |
2006.11.02 Thu
夜ばかりが闇ではない心の内側を手探り で降りてみる 言葉はいつも仮の姿その 向こうにあるものに強く手を伸ばす 声 を頼りに言葉を手がかりに君を追う少し 距離をおきつつ 耳塞ぎ目を閉じる耳で ないもので聞き目でないもので見るため 君からの言葉に心揺らし言葉選び伝えることを望み伝わることを恐れる私の内側で起こるあ れこれはすべて化学反応で言葉のやり取りは国語の中で論じられるものだと思っていたけれ ど実は理科なのだと気づいた君の言葉に触れることは君に触れることであり君の言葉に動か される私に起こることは心理学より物理学に近いのだということを声を聞くこともままなら ぬほど遠く離れて初めて知り鳴るはずもない携帯電話を何となく常に視界の中に置いている |
2006.11.01 Wed
梁の焼け落ちたペットショップの前に 花やら みかんやら ペットフードやらの供え物 |
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