2007.08.31 Fri
腕の中のぬくもりに この上なく 遠い名をつけた聖母 |
2007.08.28 Tue
夕方 使いの者だという男がやって来て 蝕の間に この裏の楡の木の根元に埋まっている 大きな鉢を掘り返し 水を満たして待てという 影に覆われた月が再び姿を現し始めたら 時を置いて三度その水面をのぞくが良い |
2007.08.27 Mon
いまのうちに と おもって できなかったこと そのうちに と おもって できなかったこと |
2007.08.25 Sat
夏のおわりに。 マカ「おかあさん あたし こんなに ようちえん おやすみしとったら もう ねんちょうさんに なっとるかもしれん」 |
2007.08.25 Sat
言葉をもたぬものが 言葉を与えてくれる 私の中に 言葉を湧き上がらせる けれど どんな言葉も いつもそれに追いつけない |
2007.08.25 Sat
たそがれ 家路を急ぐ運転席のフロントガラス その端に 今すれ違った自転車の少女 ぬぐっていたのは汗 ではなく涙 赤く染まるまぶたや頬を夕日のせいにして なにか一つのことで心をいっぱいに張りつめペダルを踏む 0,7秒の残像 |
2007.08.24 Fri
出会えたことの喜びは 会えなくなっても変わらぬ喜び |
2007.08.24 Fri
会いたいと思う人がいる幸せは 会う日までずっと続く幸せ |
2007.08.22 Wed
「うわっ みて ふわっふわのくも あんなにいっぱい」 黙って秋の準備を始めた空 子どもは 見逃さない |
2007.08.21 Tue
小学生になった ので子ども料金の切符を買う ために自動販売機のボタン を自分で押す ときに何気なく置いたカバン をそのまま忘れて切符 だけ持ってホームへ降り ていることに親も気づかずジュースを飲もう としてはじめてカバンがない ことに気づき慌てて改札に戻る あいだに構内放送で呼び出され てしまったおかげでもはや拾得物扱い なので所定の用紙に住所氏名電話番号と拇印 を押すはめになり指先を真っ赤に染めた のを拭うためにウエットティッシュ をちぎってくれた拾得物係の人 の他にも女の人やら別の男の人 やら結構ヒマそうな駅の人たち がわらわらとこのうっかり親子 を囲んで「よかったよかった」と皆笑顔 の制服に囲まれビビる子ども のお尻たたいてお礼を言わせ て部屋を出て再びホームに降りる と間もなくやって来た電車 に乗り込み一安心 で6つ目の駅を数えて到着 したので降りよう として今度はカバン に入れたはずの切符 がないことに気づき 今度はこの駅 の改札 の前 でカバン の中身 を店開き してやっとお昼に食べたパンの残り の袋の中になぜか切符を発見 したことが納得いかない子ども の頭こづいて改札 を出るこの夏 の暑さ は頂点 |
2007.08.19 Sun
むせ返る夜半
なにか夢を見て 目も明かぬまま起き上がり 誰もおらぬ方に差し伸べる手 思わず触れると この小さな生き物の 柔らかくベタついた触手に一瞬で絡めとられて しばし身動き取れず |
2007.08.18 Sat
気が付けば助手席に君ではない人が座っていて さっきから地図を開いて細かく道案内をする 言われた通りにハンドルを切るのは結構大変で 指示はもう少し早くしてほしいと思いながら この人は誰だろう とか この車はどこへ向かっているのだろう ということの方が気になって 夏休みで街には子どもがあふれているし 西日を照り返している信号も時々良く見えないし ブレーキを踏む足が どうも履き慣れない靴を履いているようで あの角曲がったら この次止まったら とチャンスはうかがいながら なんと切り出せばいいか言葉を選んでいるばかり パスワードを忘れたので 君に近付けなくなってしまった 思いつく言葉を片っ端から打ち込んで 綴りが間違っているのかと何度も辞書を引いてみたり 数字が違うのかといろいろ組み合わせを変えてみたり かれこれ2時間近く格闘しているけれど どうしても思い出せない 今頃君からの返事が届いている やさしい言葉がこの中に眠っている たくさん嘘をついてきたことを洗いざらい詫びた私のメールに 「心当たりがありません あなたは一体誰ですか」と 何もなかったかのように 何も読まなかったかのように 私を気遣うとぼけた返事が届いているに違いない |
2007.08.17 Fri
すこしだけ無理をしてみたいこともある 覚悟の上でする無理は楽しい |
2007.08.17 Fri
ワタシタチ と いうときは アナタとワタシ の ことなのに アナタタチ と いうときは アナタとダレカ の ことになる さっきから アナタとワタシ ふたりだけで はなしているのに |
2007.08.15 Wed
とおいところにいるきみと うみをへだて そらをわかつ |
2007.08.14 Tue
夕立の通り過ぎるのを待って 東向きに走らせる車の前方 遠い山の頂きにやわらかく降りた虹のきれ端 いち早く見つけた子どもが後ろの席で騒ぎ出す 晴れた空に吸い込まれ どれほどの長さもないが かすかな丸みの先に大きな半円を思い描いて 反対側の端を探す あった! あった! よこよこ みてみて 窓にかじりついた子どもが 右手の山並みの中程にうっすらと染まった空を見つける 混み始めた道路に気を配りながら 素早く目を走らせた 高速道路のゲートをくぐった頃 身を乗り出して実況中継していた子どもが変化に気づく にじが のびてきたよ よく見ると かすかだった右窓の虹も いつのまにかすらりと弧を描き 左右から伸びた腕の指先は 天の一番高い所で触れあおうとしている もうすぐ あくしゅする はやく! はやく! スピードをあげて 一番近いパーキングエリアをめざす つながった! つながった! もどかしくシートベルトを外し 車から転がり出た親子 虹より大きな口を開けて 空に見とれる |
2007.08.14 Tue
息を止めて 埃の積んだ棚からいくつかの箱を降ろす 忘れてしまった中身が次々と現れ 再会のたびに なぜその箱に入れたのか思い出す お気に入りの千代紙を選んだ包みに 幼い文字で残した生真面目なメモ 解き方を覚えてしまった知恵の輪 宝石だと信じていた雑誌の付録 針金に通した作りかけのビーズ細工は 誰かにあげる約束ごと忘れられていた 落書きのある小箱から出て来たスプリングのおもちゃが シャラシャラと軽い音を立て 生き物のように30年ぶりの階段を降りる 初めて手にした日の驚き 同じ高さから同じ手つきで 繰り返し遊ぶ幼い私の傍に父の気配 細長い小箱から出て来た紅い扇子は 母から譲り受けたものと思ったが 広げた瞬間 祖母に買ってもらったロビーの売店が鮮明によみがえる 旅の記念の絵はがきの束 名所の絵柄の栞 みなおまえの宝物だと教えられ 何に使うこともなく大事に箱の中に眠らせた 開き戸の奥には ふたのしまりきらない3つの紙箱 おびただしい数の友人からの手紙に 思いがけない名前 夏の終わりを待たず引き払う実家の二階 したたる汗をシャツで拭いながら この部屋で 家族と友達が世界のすべてだった頃の私に還る |
2007.08.13 Mon
赤と金と緑のひと 青と銀と黄のひと |
2007.08.12 Sun
赤道直下の打楽器を打ち鳴らす極東の男たち 南半球の祭りの手具を自在に操る 異国を旅して来た女 祭りのために川で清めた体から吐く息は 細い笛を通り抜け旋律となり天を目指す |
2007.08.12 Sun
川底の丸い石たちのぬめり 膝頭の岩陰にひるがえる魚の白い腹 喉の高さまでせり上がってくる水音 見上げた空を埋めるセミの声 唇に受ける日差し 濡れた髪をゆらす風 世界はこの高さで二つに分かれている |
2007.08.11 Sat
マカ「そんなん しっとる」 イセ「うそ。しらんかったくせに」 マカ「しっとるわ」 イセ「うそ。うそついたら じごくにいくんで」 マカ「じごくや いかんわ」 イセ「いくんで」 マカ「ほんなら じごくいく みち しっとんな」 イセ「しっとるわ。きたのほう まっすぐいったら しごくがあるんで てんごくは ひがしのほうの おそら ずっといったら あるんで」 マカ「……せいかい……」 |
2007.08.11 Sat
文字が教えてくれる君のこと うそではないけど 全部ではないから 文字に置き換えられなかった君を知りたくて 文字になったフリをして もう一度 君のもとへ出掛ける |
2007.08.06 Mon
マカ「だるちゃんと かるきくんと みるくちゃんと しょーくんで このいぬちゃん かいよんで」 ……いぬ?ぐろーっていうわんわんはどこいったの? マカ「ぐろーはじぶんのおうちで ねよるんで」 ふーん。この犬はなんて言う名前なの? マカ「ゆりこ。」 |
2007.08.05 Sun
マカ「おかあさーん たおるもってきてー ぷーるがはなにつまったー」 |
2007.08.05 Sun
ジャンケンで決める わけにはいかないことの方が多いけれど ときどき そんなことこそ ジャンケンで決めた方が うまくいくこともあって その時に備えて 子どもにジャンケンを教えておく |
2007.08.05 Sun
一度はじめてしまったからには
楽しいことも 悲しいことも 待ったナシで やってきます 腹が煮えたり 笑いすぎたり わたしたちは いそがしくて いつになれば なにもかもが うまくいくか いかないのか どこにいるか 今がいつだか どれが何かも 誰がそうかも 分からなくて 困ってみたり けれどそれも すぐに忘れて 誰かのためや 何かのお陰や いつもの事の せいにしては めでたく今日を終えるのでした。 |
2007.08.05 Sun
つたえたいことが たったひとつなら たったひとつを くりかえしつたえたい |
2007.08.05 Sun
対等に話す モーションではなく真剣だと 演じきる |
2007.08.05 Sun
おねがい。 きちんと接する時間を持ってよ 見えている部分だけで判断しないでよ どうにもできない部分を 性格のせいにしないでよ。 |
2007.08.01 Wed
ちかれたび。 |
|
| HOME |
|